個人再生を申し立てる前、
僕がかなり気になっていた言葉がある。
個人再生委員。
名前がもう怖い。
委員。
審査。
裁判所。
なんとなく、
「借金を作った人間を呼び出して詰める人」
みたいなものを勝手に想像していた。
もちろん、そんな説明はどこにも書いていない。
僕の想像である。
実際に東京地裁で個人再生を申し立てると、個人再生委員が選任され、財産や収入の状況などを確認したうえで、手続開始について裁判所へ意見を述べる。
東京地裁では、個人再生事件について全件で個人再生委員を選任する運用になっている。
僕の場合も個人再生委員が選任され、申立てから約2週間後に面談を受けた。
この記事では、個人再生委員は何をする人なのか、面談では何を確認されるのか、僕の場合は実際にどんな面談だったのかを整理する。
まず結論:個人再生委員は何をする人?
東京地裁は、個人再生委員について、
裁判所の補助機関として、再生債務者の財産や収入の状況を調査し、手続開始について意見を述べる
役割があると案内している。
つまり、
個人再生を認可する人そのものではない。
最終的に手続きを進めるかどうかを判断するのは裁判所であり、個人再生委員はそのために必要な調査や意見を行う立場になる。
東京地裁ではさらに、個人再生委員の指定口座へ計画弁済予定額を毎月振り込む履行テストも行われる。
僕の場合も、
個人再生委員との面談。
毎月の履行テスト。
この二つを経験した。
個人再生委員は全国で必ず選ばれる?
ここは注意したい。
全国すべての個人再生事件で、必ず同じように個人再生委員が選任されるわけではない。
東京地裁では、個人再生事件について全件で個人再生委員を選任している。
一方、具体的な運用は裁判所によって異なる。
なので、
「個人再生をすると必ず僕と同じ面談をする」
という話ではない。
この記事で紹介する面談内容も、東京地裁へ申し立てた僕自身のケースである。
個人再生委員が決まったら面談することになった
僕が個人再生を申し立てたあと、個人再生委員が選任された。
その後、弁護士を通して日程を調整し、
個人再生委員との面談
をすることになった。
当日の朝、担当弁護士からも連絡が来た。
すでに資料は個人再生委員へ共有されている。
面談では、借金が増えた経緯などについて聞かれたら詳しく答える。
そんな説明を受けた。
この時点の僕は、
まあまあ緊張していた。
というのも、申立て前にかなり細かく家計や口座を提出していて、
「最近ちょっと飲みに行くお金、多かったけど大丈夫かな」
みたいなことまで気にしていたからだ。
面談では何を聞かれる?
ここで、
「個人再生委員との面談では、この10問を必ず聞かれます」
とは書けない。
本人の収入、財産、借金が増えた事情、提出資料などによって確認する内容は変わるからだ。
東京地裁が個人再生委員の役割として挙げているのは、主に財産と収入の状況の調査や、手続開始についての意見である。
そのため僕の場合も、
- 借金が増えた経緯
- 収入や生活状況
- 提出した資料
- 本業以外のお金
- 一部の支出
などについて質問された。
ただ、
取り調べのような面談ではなかった。
少なくとも僕が受けた面談は、
提出している資料を見ながら、
「これはどういうものですか」
「この頃はどういう状況でしたか」
と確認していく感じに近かった。
匿名男の場合、面談には4人いた
僕の面談には、
- 個人再生委員
- 個人再生委員側の若い男性弁護士
- 僕
- 僕の担当弁護士
の4人がいた。
僕の担当弁護士は、面談場所に着いたときにはすでに来ていた。
この人は申立て準備の段階から、とにかく資料を細かく整理してくれていた。
面談が始まると、
個人再生委員からも、資料が整理されていることについて担当弁護士へ言葉があった。
僕は横で、
「ありがとうございます。僕は集めただけです。」
くらいの気持ちで座っていた。
借金が増えた理由も聞かれた
当然ながら、
借金がどうして増えたのか。
という話も出た。
僕の場合、借金は一つの大きな浪費で突然250万円になったわけではない。
生活費が足りない。
返済する。
また生活費が足りない。
借りる。
それを何年も繰り返して増えていった。
申立書を作る段階ですでに詳しく説明していたけれど、面談でも必要に応じてその内容を確認された。
ここでも、
立派な理由を作ろうとする必要はなかった。
僕は僕に起きたことを、そのまま説明した。
競馬についても聞かれた
僕の銀行口座や申立資料には、
過去に少し競馬をしていたことも出ていた。
これは申立て前に弁護士へ詳しく説明していた。
友人と遊ぶ延長で一時期やっていたもの。
借金の主な原因ではない。
競馬をするために借金をしたわけでもない。
面談でも、このあたりについて確認された。
ただ、
僕が想像していたような、
「貴様、競馬をやったな!」
みたいな展開にはならなかった。
提出されている内容について確認する。
僕の場合は、その程度だった。
競馬やギャンブルについて個人再生でどう扱われるかは、それぞれの状況によって異なるので、僕のケースを一般化はできない。
ただ少なくとも僕は、
隠さず最初から説明しておいてよかった
と思った。
赤字のイラスト制作についても聞かれた
もう一つ確認されたのが、
イラスト制作。
僕には本業のほかに、イラスト制作による小さな収入があった。
ただし金額は微々たるもので、制作費などを含めれば赤字だった。
申立て前には、その根拠として数年分の確定申告書も提出していた。
面談では、
収入がどのくらいあるのか。
制作にどのくらい費用がかかるのか。
借金との関係はあるのか。
といったことも聞かれた。
僕は、制作費によって生活が少し厳しくなることはあっても、
借金そのものは主に生活費の不足によって増えていった
ということを説明した。
微々たる金額で、しかも赤字。
それでも、
本業以外のお金についても、資料と一緒に説明する。
申立て前に数年分の確定申告書まで出した理由が、ここで少し分かった気がした。
※実際のイラスト作品そのものを個人再生委員へ見せた事実はありません。
最近の支出をものすごく怒られると思っていた
僕が面談前に特に心配していたのは、
最近の飲食や交際費だった。
借金の返済が止まって生活に余裕ができたことで、以前より外へ出る機会が増えていた時期があった。
だから、
「これ、怒られるんじゃないか」
と思っていた。
面談前にも担当弁護士へ相談した。
僕の場合、担当弁護士からは、個人再生委員が見るのは将来の返済可能性などであり、最近の一部の支出だけを取り出して極端に心配する必要はないという趣旨の説明を受けた。
もちろん、
「個人再生中はいくら使っても大丈夫」
という意味ではない。
僕の家計や申立内容を見たうえでの、僕の担当弁護士から僕への説明である。
実際の面談でも、
僕が頭の中で作り上げていた、
最近の飲み代・大追及スペシャル
は開催されなかった。
面談は「合否を決める面接」なの?
僕自身、面談前は少し、
「ここで落とされるのでは?」
という感覚を持っていた。
でも、就職面接のような「うまく答えれば合格」というものではない。
個人再生委員は、東京地裁の説明では財産や収入を調査し、手続開始について裁判所へ意見を述べる立場にある。
だから重要なのは、
面接テクニックではなく、
提出した資料と自分の説明がきちんとつながること
なのだと思う。
分からないものを格好よく答えるより、
分からないなら確認する。
聞かれたことには正直に答える。
僕はそのつもりで面談を受けた。
最後に「問題ないと思う」と言われた
いろいろ確認されたあと、
個人再生委員から僕に、
問題ないと思うので、進めていこうと思う
という趣旨の言葉があった。
かなりホッとした。
もちろん、これは裁判所による開始決定そのものではない。
個人再生委員は裁判所へ意見を述べる立場であり、手続上の決定をするのは裁判所だ。
それでも、
面談へ行くまで、
「何か問題を指摘されるんじゃないか」
と思っていた僕には、
かなり大きな一言だった。
そして最後に、なぜかNISAとiDeCoの話になった
面談の最後。
個人再生委員から、
これからのお金の管理について話があった。
貯蓄。
資産形成。
そして、
NISAやiDeCo。
借金の話をするために来たはずなのに、
最後は、
未来のお金の話
になっていた。
僕にはこれがかなり印象に残った。
何年もの間、
給料が入る。
返済する。
足りなくなる。
借りる。
そればかりだった。
そんな僕の前で、
「これから貯めるお金」
の話がされている。
そのとき思った。
早く、そっちに行きたい。
借金のない先。
返済のためではなく、
自分の未来のためにお金を使える生活。
個人再生を、
単に「借金を減らす手続き」ではなく、
生活を立て直すための手続き
として初めて実感した瞬間だったかもしれない。
面談が終わったら、履行テストの28,000円を振り込んだ
面談が終わった帰り。
僕は電車の中で、個人再生委員の指定口座へ、
28,000円
を振り込んだ。
ただし、これは面談の日に一度だけ払うお金ではない。
僕の場合は、
毎月28,000円を数か月にわたって積み立てていく「履行テスト」
だった。
東京地裁では、個人再生委員の指定口座へ計画弁済予定額を継続して振り込み、将来、再生計画どおりに返済を続けられるかを確認する運用がある。
つまり、
「これから毎月、このくらいの金額を本当に払い続けられるのか」
を、実際にお金を振り込んで確認する。
僕の場合、その金額が毎月28,000円だった。
28,000円という金額や期間は僕のケースでのもので、全員が同じではない。
また、僕の場合は、この履行テストで積み立てていくお金から個人再生委員の費用が支払われることになっていた。
そして面談を終えたその日。
その数か月続く履行テストの最初の28,000円を、帰りの電車で振り込んだ。
帰ってからでもよかったのかもしれない。
でも、
忘れないうちに払う。
もう、
「来月の匿名男」に任せない。
個人再生委員との面談に向けて準備した方がいいこと
僕の経験から言える範囲なら、
まず、
担当弁護士から言われた資料をきちんと出す。
これが一番だと思う。
そのうえで、
自分の借金がなぜ増えたのか。
現在どんな収入があるのか。
家計はどうなっているのか。
口座に説明が必要な入出金はないか。
副収入や財産について聞かれたら説明できるか。
このあたりは、一度自分でも整理しておくと話しやすい。
ただし、
「個人再生委員に好印象を与える回答集」
みたいなものを暗記する必要はない。
むしろ提出資料と違う話を始めたら、その方がややこしくなる。
僕の場合は、
聞かれたことに、そのまま答える。
それで進んだ。
面談が怖い人へ、僕の体験から言えること
「個人再生委員との面談」
という名前だけを見ると、
僕もかなり身構えた。
裁判所の手続き。
弁護士。
借金。
財産調査。
文字だけ並べれば、
怖そうな要素しかない。
でも実際に僕が受けた面談は、
僕を責める場というより、提出した資料とこれからの返済について確認する場
だった。
もちろん、これは僕の経験であって、すべての面談が同じ雰囲気になるとは言えない。
確認される内容も人によって違う。
ただ、
少なくとも僕の場合、
一番怖かったのは、
面談そのものより、面談前に頭の中で勝手に作っていた面談
だった。
個人再生委員との面談で僕が分かったこと
面談へ行く前の僕は、
「過去に何をやったか」
を確認される場所だと思っていた。
もちろん、それも確認された。
借金。
支出。
口座。
収入。
副収入。
でも最後に話していたのは、
これからのお金だった。
個人再生委員は、東京地裁では財産や収入を調査し、手続開始について裁判所へ意見を述べる役割を担う。
だから結局、見ているのは過去だけではない。
これから再生計画どおりに暮らしていけるのか。
僕にはそこが一番印象に残った。
家計を見る。
口座を見る。
収入を見る。
過去の借金を見る。
そして最後に、
この先どう暮らすのかを見る。
僕にとって個人再生委員との面談は、
そのことが一番分かりやすく見えた時間だった。
次に読むなら
面談当日の出来事をもっと詳しく読みたい
面談前にはどんな資料を提出した?
→ 「個人再生の必要書類は?実際に提出したものと集め方をわかりやすく解説」
個人再生委員や履行テストのお金について知りたい
→ 「個人再生の費用はいくら?弁護士費用・裁判所費用・個人再生委員のお金を整理」
面談のあと、手続きはどうなった?
個人再生全体の流れも整理したい
→ 「個人再生の流れ・期間はどれくらい?申立てから認可・返済までをわかりやすく解説」